大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 平成7年(行ツ)55号 判決 1996年10月29日

山梨県西八代郡下部町市ノ瀬八九八番地

上告人

阿部敏

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 荒井寿光

右当事者間の東京高等裁判所平成五年(行ケ)第一七八号審決取消請求事件について、同裁判所が平成六年一二月一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

"

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 可部恒雄 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信)

(平成七年(行ツ)第五五号 上告人 阿部敏)

上告人の上告理由

争点である

<1> 相違点<1>の判決文中P(ページ)7・14行の螢光灯においてフィラメント間にコンデンサー及び点灯管を設けるのは周知である。

<2> P8の2行のコンデンサー、点灯管及び安定器等を螢光灯ランプ外で取り外し可能に設ける。(目的であってこの点が認可ではない)

<3> 相違点<2>の取り付け部を差し込み口構造しする。(具体的取り付けで異なる)

<4> P18の13行から15行、P20の取消事由2の9行から11行の螢光灯用部品が螢光灯ランプに直接取り付けられず取りつけ部を介して間接的に取り付けられている点が共通している(目的)

<1>~<4>は引用例1(甲三号証)・2(甲四号証)の公知の技術(認可)であるごとく書かれている。

特許庁の審決の文面からのみ判断すれば裁判所の棄却となる事はまぬがれないが、しかし、争点である<1>~<4>は引用例の公知の技術であるというよりは螢光灯器具とランプの取り付け認可で螢光灯全搬の技術である点をまた、登録請求範囲からはずれた明細書の文面から、裁判中の乙第2・第3号証など引用例1・2以外の争点を本考案にあてはめるだけであって争点判断が誤ったものどなってきている。

引用例1と2の登録請求範囲の中で争そえば認可されたところの具体的・螢光灯部品・装置部とランプの取り付け、取り外し構造により認可されたことがわかる。

取り付け口を差し込み構造とするところも、乙第2・第3号証においても、具体的・取り付け構造(方法)は異なることは判決文中P24の12行から13行の取り付け方法は同じではないと認められている点、認可の対象となる方が正しい。

<1> 相違点<1>のフィラメント間に、コンデンサー及び点灯管を設けることに対して、本考案は、フィラメント間に、差し込み口を取り付けただけでコンデンサー、点灯管を直接、間接的に取り付けると、本考案の文中にひとつも書いてはいない。

しかし、引用例1と2の文中には、直接・間接的に書かれ、引用例の認可されたごとく本考案に争点としてあてはめてくる。これは、螢光灯器具とランプの取り付け関係の認可であり本考案と争うところではない。

<2> 判決文中P8の1行から3行のコンデンサー、点灯管及び安定器等を螢光灯ランプの外で、それに対して取り外し可能に設けることは、引用例1と2により公知であるという点において、審決の判断は根本から誤りである。

螢光灯の最初である直管式・サーク管式の器具とランプとの取り付け関係において、周知の技術であり、引用例2がこの公知である事は誤りである。

本考案と引用例1と2は、サーク管式後の螢光灯用安定器の小型化により大型の安定器を必要としなくなる事でこの安定器を利用して、点灯管、コンデンサーに螢光灯電球と一体化させた(取り外しができない)電球型の螢光灯ができてきたのである。この螢光灯に対して判決文中のP15の9行からの本考案・引用例1と2の目的効果についての本来、螢光灯器具とランプのように、ランプが切れたら、ランプだけを取りかえ、器具とランプ全体をすてるという不経済性を取り除くための目的で考案されたものである。

引用例1と2の登録請求範囲の中に書かれていることは、具体的に

引用例1は

コンセント、案定器をランプに着脱可能にした取り付け構造

引用例2は

螢光灯器具の入った装置にランプ部を具体的に着脱可能にしたランプ装置である。

本考案は螢光灯ランプに直接差し込み口を取り付けたランプであり、フィラメント間に点灯管、コンデンサーを取り付けたランプではなく結果として、螢光灯器具に本考案のランプと取り付けて利用するものである。

引用例1と2は、具体的に装置に取り付ける構造(方法)として認可されたものである。

コンデンサー・点灯管及び安定器等を螢光灯ランプ外で取り外し可能に設けることは、引用例1と2の公知ではなく引用例以前の螢光灯器具とランプの関係からの公知であることを、前提にして考えてもらう事の方が正しい見解である。

本来なら引用例1と2もこの点においても認可されるほうがおかしいのである。

<3> 判決文中P8の12行の相違点<2>についても取り付け部を差し込み口構造とすることは当業者が極めて容易になし得たものと認める点においても差し込み口構造を、本考案、引用例1と2も、具体的に書いていることで認可を得、得ようとしているのであり、この点においても螢光灯全搬の周知の技術の中で具体的取り付け構造(方法)により認可をされてきているもので螢光灯全搬の周知の技術から考えれば、最初の直管式螢光灯から以後の螢光灯器具類にいたるすべての器具は、この周知の技術により認可を得る事ができないのがあたりまえになる。

判決文中のP25行の19行の乙第2・第3号証によっても、明らかで取り付け部を差し込み構造とすることは当業者が容易に得たものと認めるとあるが、差し込み構造を極部的に見ると当業者の認可のごとく思えるが全体的差し込み構造として見れば、乙第2号証の第1図は、丸型螢光灯ランプに4本の差し込み口、2本は電源あとの2本は点灯管、コンデンサーにつく。

第5図は、丸型螢光灯ランプに2本の棒状の差し込み口(電源)点灯管はランプに直接取り付けたものを表わす。

本考案は、電球型の螢光灯ランプに、差し込み口を直接取り付けた螢光ランプであり、点灯管、コンデンサーを直接・間接的に取り付けると考案文中に一つも書いてない。

乙第2・第3号証の点灯管を直接付けた点からも引用例1と2は直接・間接的に点灯管を取り付けていることから認可は得れないことになる。又、引用例1はT状の取り付け部をランプに間接的に付けた点からも認可がされないのに認可されていることの矛盾があり、又、乙第2・第3号証取り付け構造を本考案にあてはめるなら引用例1と2にもあてはもり認可が得られないことになる。

乙第2・第3号証は実用新案公開が昭和54年という所から見れば本考案に対するばかりではなく引用例1と2は公開57年であるのでこの点から見ても引用例1と2は公認されない対象となるのに、本考案のみ不認可の対象とされている点不平等である。P18の4行の本考案と引用考案は、螢光灯安定器を内蔵させない電球型の螢光灯ランプで一致する点について、本考案は螢光灯に安定器という螢光灯用部品がランプ内に一つも取り付けられていない、電球のみということであり、引用例1は、安定器を間接的に電球に取り付け、独自の装置に対し、この装置にしかつかえないランプを具体的に安定器を、取り外し可能としたものであり、本考案と一致していない。

又、ランプ内に点灯管を直接・間接的にも取り付けられるようにしてある点でも、本考案のフィラメント間に差し込み口を取り付けたものと、具体的に異なるし、直接・間接的のふたつの方法で一致点が一つではなく共通していない。

又、引用例1は螢光灯器具とあるが、これは装置部からと考えた方が妥当であり、P19の8行の装置部はアダプターを指すものではなく原告の上記の主張は採用できないとあるが、安定器を小型し、ソケット内に入れ又、器具内のデットスペースにとある。ここでいわれている器具内とは、コンセント3やカバー8と共に天井に取り付けられるとある。

ところが、器具と表現しているが、ランプ装置として登録していてランプを外せば上部は、装置とゆうことになる。アダプタも装置の一部であり、本考案の判断の主張の方が正しいと思う。

又、一般的に螢光灯器具とは、内部に螢光灯部品をすべてまかない器具として独立したものと考えられ(他のメーカーのランプを取り付けてもつかえる)装置とは、独立的につかうものではなく、何かの目的のために利用され活用されるためのシステムの一部をいうものであり、ランプ装置である引用例1と2は装置として認可される方が正しいし、ランプ装置として登録されていることからランプ以外の上部は、装置と見た方が正しい見解である。

<4> 螢光灯用部品が螢光灯ランプに直接取り付けられずに螢光灯器具から間接的に取り付けられている点から、これも引用例1と2の認可されたところではなく螢光灯器具とランプとの関係を示すものである。

引用例1と2は、螢光灯器具ではなく装置に直接・間接的に又、安定器だけを別付けして、この装置しかつかえないランプ部に対し、具体的に取り付ける方法を書いてある。

登録範囲のみの対象とする認可からすれば本考案と同じ取り付け構造ではなく、同じ考案とは認められない。

P23の12行から安定器は、電球型の螢光灯ランプに内蔵させない点は、螢光灯器具とランプが一体化された電球型の螢光灯ランプに対し安定器を内蔵させないという意味で本考案は螢光灯ランプ内に、安定器、点灯管を入れてないと書いたのであり、ランプ装置ではなく電球型の螢光灯ランプとして登録したので、ランプ内に螢光灯器具を入れる必要はない。ランプとして独立できなければ不経済になり本来の目的である経済性をまかなえなくなる。又、螢光灯ランプに安定器を内蔵させず電源とフィラメント間の適宜な位置に接続するようにすることは当業者が当然考えることが認められる点においても、装置として登録するものに対して器具内に、又別な所にと考えられるが、ランプとして登録した本考案には安定器を内蔵させる必要はないので、この点で本考案は無関係であり、引用例1と2の考案に対していえることなのである。しかし、登録範囲以外の点からも不認可の対象とされている点、裁判所の判断とする取消理由1、2、3、4が引用例1と2の認可とする所ではなく、螢光灯全搬の周知の技術を本考案の対象とした所に判断の誤りがあり引用例の登録請求の範囲の中で争えば、具体的取り付け、取り外し構造であり、本考案と引用例1と2、乙第2・第3号証も、具体的には、本考案と具体的取り付け構造が異なり取消事由の判断も変ってくるのである。

本考案も引用例1と2も争点となっている螢光灯全搬の技術から見れば認可されないので、具体的取り付け、取り外し構造で認可を得、得ようとしたもので、三者三様の取り付け構造であるため認可の対象となるものである。

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例